日本山岳耐久レース

すでにあちこちに掲示板に書いたので、あんまり書くこと無いんだけど・・・
山耐はリタイア。


スタート前に体育館で和気あいあいと話に花を咲かせ有頂天になってしまい、装備の点検を怠ったのは全く自分のふがいなさの表れですね。号砲直前にバックに手をやりライトを確認しようとすると手が空を切る・・・あれ?と思った瞬間青ざめました。このまま行っても確実にリタイアだから、遅くなっても装備を取らなくては・・・・。なんたる失態。体育館に戻るとスタッフの方が鍵をかける直前。あわてて声をかけ中に入れてもらい事なきを得ました。でも気持ちはすでに大いにあわてていて、我を見失っていたのでしょう。
結果としては大ダワでリタイアを宣言したけど、第2CPでリタイアを迷った末に、もう少し行けるところまでと思った私は、その後何度も後悔しました。月夜見(2CP)を過ぎるといきなりジェットコースター並の下り坂。ここは悪名高い滑り台として有名、試走したときにも結構気を遣って下った所。ここで膝が痛いしつま先が痛いので悲鳴を上げつつ(いや、実際にはぐっとこらえていたのかな・・・)下る。降りきったところで、このまま行かないでもう一度戻ってリタイア、と思ったのに、気がつけば足は前に進んでいた。平気か?膝が壊れたら走れなくなるぞ・・・と思いつつ、まだ足が先に行きたがっている、と自分を納得させる。それでも、その後は段差にもぬかるみにも足を取られ、つまづき転び、尻餅は数限りなく。何度か崖下に足を滑らせ転倒しそうになり、そのたびにうずくまりコースの端によって後続のみんなに先に行ってもらう。後ろからライトが近づくたび、お先にどうぞと道を譲るも、何故か上りになると道を譲られる私。この期に及んで、膝の痛みをこらえてまでまだ登るのか・・・自分の体がよくわからない状態になってきて、それでもまだ行けるかも、と足を動かしていた。


そんな私でも、やっぱり気持ちが切れるのはあっけない。何度かの転倒、その際先月痛めた右手首を強打しライトも持てなくなる。転倒するときに身体を防御することも出来ないくらい疲れてきているのなら・・・そう思った瞬間、膝の痛みも足のつま先の痛みもピークに達した感じがした。大ダワまで行けばリタイアできる・・・でも、本当ならやっぱり月夜見でやめるべきだったのか・・・・頭はグルグルするけど、もう足は動かない。歩くと言うよりはいつくばっている状態。大ダワまで3キロと言われたスタッフの言葉を信じても、40分以上かかってまだ大ダワまで行かないイライラ・・・・。このままずっと痛みをこらえて歩くのか・・・なんて思ったら、下の方に煌々と照る明かりが見えた。ホッとした瞬間、また転倒。身体はもうやめてくれっと言っているんだ、と自分で納得させる。
手首も痛いし、左膝は曲げるのもいやがって言うことを聞かない。


スタッフにリタイアを告げると、チップをはずしてくださいと言われ右足の靴ひもと格闘しながら涙が溢れてきた。泥だらけの靴ひもと涙で手元がわからず、しばらくそのままだったけどスタッフは誰一人急かさなかった。きっとそういう風景を何度も見てきたのだろう。ようやく落ち着いてチップを戻すとテントに案内してくれた。温かいココアを手渡され、ストーブの焚いてあるテントに入って毛布にくるまる。ホッとするより、嗚咽を抑えるのがやっとで首筋が涙でびっしょりになった。悔しくて泣いているのではなく、お疲れさまって気持ち、家族にはこの夏ろくに遊びにつれても行かず自分だけ丹沢に行かせてもらいこの結果か・・・と思ってみたり、それでも笑って送り出してくれた家族に感謝してみたり、この雨の中を見送りに来てくれた仲間や、メールをしてくれた仲間、寝ないで結果を教えてと言ってくれた人たち、たくさんの人に支えられている自分を改めて実感し、その中で好きなことをやっていられる自分を幸せだと思った。一生懸命練習したけど、こうなったのは自分の不注意だけど、でもそれを悔やむ気持ちより、今はとにかくお疲れさまとだけ身体に言ってあげたい・・・そんな涙。


ひとしきり泣くと、寒気がおそってくる。こんなに冷えているんだ・・・と思いながら、しばらくうとうとした。テントを強烈に叩く雨音で目が覚め意識が戻る。あ〜、また雨だ・・・そう思うとまた涙が出てきた。この涙はこの雨の中を走ったり歩いたり出来ない事への悔しさか・・・・。寒いと思っていたけど、シャツ一枚でも動き続けている間は寒くなかったな・・・これくらいの雨ならへっちゃら、なんて思って、これが負け惜しみかと考えた結果の涙かな。


とにかく、たくさん泣いた。
本当に背中に背負った2リットルの水はこのために使ったのか、と思うほど。
でも、たくさん泣くなんて滅多にないから、泣けるのなら泣いちゃえ、みたいに気持ちも切り替わっていたのか、テントで収容車を待っている間だけでなく、体育館に帰ってわずかな時間だけど寝袋に潜ったとき、やっぱり涙が流れていた。でも泣きながら口に出た言葉は、ありがとう、だった。家族に、仲間のみんなに、大会スタッフに、それから奥多摩の山に、地元のみなさんに、それから自分自身に、そんな感謝の言葉をつぶやくのが精一杯だった。


山耐のキーワードは涙、来年はこの涙がうれしい方に向くようにしたいな。


もう装備については見直しを始めました。
山の練習も年明けからは本格的に始めようと思っています。
登りの練習だけでなく、いかに効率よく下るか、これが一番の課題。
装備については、追々書いていこうかなと思っています。


そうそう、ただひとつ悔やむことがあります。
収容車を運転してくれたスタッフの方に、ありがとうございました、来年もまた来るのでよろしく、とお礼を言い忘れました。それくらい疲弊していたけど、やはり礼儀を欠いた振る舞いだと反省しています。あの雨の中、自分の車で何時間も運転し続けたスタッフがいたこと、忘れては行けないと思います。